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寺脇先生の教育論≪寺脇研先生の教育論≫【第47回】これからにむけて

 大阪府の北の外れにある能勢町は,人口1万1千人余りの小さな町です。
この町を,わたしが初めて訪れたのは2007年の9月。町の教育委員会からの依頼で,町内の学校教育に関して助言する
役割を与えられました。2004年度から,全国でも珍しい小中高一貫教育を旗印に,高校1校(府立能勢高校),中学校
2校,小学校6校の全学校が,学校種別や府立,町立の設置者の違いを超えて連携した教育体制をとっています。町教育
委員会が積極的に主導して,各学校の積極的なイノベーションプランの作成や,地域の人々と結びついたコミュニティ
スクール展開を進めているのです。わたしも,それに関わるなかで教師の底力と地域の教育力とがスクラムを組むこと
の素晴らしさを実感してきました。
 能勢町の学校は,地域に対して開かれ,保護者や地域住民とがっちり連携して子どもたちの教育を考えています。
そんな学校にいくら政治が介入しようとしても,またいくらマスコミが世を惑わす情報を流しても,びくともしないの
です。家庭や地域と連携することによって,現場の実情無視の外圧に屈しない学校教育を成立させることは可能です。
どんなに強い風が,どんな方向から吹こうと,学校教育が地域という地盤にしっかり根を張っていたら恐れることはな
いのだと,それを見て,わたしは確信しました。
 
 事実,能勢町では,入学定員割れが3年続けば即廃校という府条例の規定から,能勢高校を例外扱いすることに成功し
ています。町内中学校の全卒業生がそこへ進学してやっと定員を満たす山間部の高校と,大阪市内のようにいくらでも
入学者を集める可能性のある高校との「定員割れ」は違うのだということを,府議会にも納得させたのです。
 これを成し遂げたのは,能勢町民全体の意思です。自分たちの町の学校をどうやって守るかを住民が腹を据えて考え
れば,知事や府議会といえども手が出せなくなります。
 同じように,日本中で,われわれ国民が教育について深く考え,自分たちの意思で行動すれば,政府だっておいそれ
とは教育をいじれません。まさに,自分たちでできること=新しい公共なのです。
 そうした議論を方々で巻き起こすために,これからもわたしは,政府や自治体の教育政策について感情論に走ること
なく着実に論評や批判を続け,皆さんに考えるヒントを提供していくつもりです。