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寺脇先生の教育論≪寺脇研先生の教育論≫【第43回】絶望から抜け出す「行動民主主義」を

 いままでは,国民が政治に参加し投票行動によって政治家を選べば,彼らがこの社会の未来を考えてくれていました。
それに引き換え今の政治家ときたら・・・と嘆きたくなるのもわかります。しかし,かれらが無能なのではなくて,昔の
政治家に比べると解決しなければならない問題があまりにも多く,あまりにも難しいという面もあるでしょう。政治家
に頼る代議士制民主主義は,そもそも限界にしているのかもしれません。

 わたしは学生や若者によくこう言います。
政治や政治家に絶望して結構,でも,この社会をよくすることに絶望しないようにしよう,と。
 これまでは,政治に期待するのは世の中をよくしたいという気持ちと連動していました。ところがこの困難な時代には,
政治や政治家の手に負えないほどの難しい自体が出てきています。一方で,個人が社会のために直接活動する途は大きく
広がってきました。
 昔の災害だったら,政治が主導する形で行政の手続きによって救難や復興が行われました。それが,現在はNPO団体,
企業,さらに個人まで含めた幅広い国民の力で義捐金が集められたり,被災地でのボランティア活動が行われたりしてい
ます。政治や政治家に期待して絶望してしまうくらいなら,自分たちで行動すればいいのです。
 たしかに,予算の編成執行とか法律の立法など政治家にしかできない仕事もあります。それはそれで,時間がかかって
もちゃんとやってくれるよう国民の当然の権利として要求すればいいでしょう。
ただ,何から何まで政治家任せの代議制民主主義を墨守する必要はありません。民主主義とは民が主役なのですから,そ
の主権を全部政治家に委ねるのではなく,一人ひとりが「できるときに,できる人が,できるだけのことを」というボラ
ンティアの精神で,社会を少しでもよくするための行動をするのです。いわば「行動民主主義」です。
 
 子どもや若者たちに身につけてほしいのは,原発問題を解決していく力だけではありません。外国とどう付き合ってい
くか,外国人を社会の中にどう受け入れるか,農林水産業をどうしていくか,年金制度や介護福祉制度をどうするか等々,
二十一世紀を通じてますます深刻化する課題は目白押しです。
 子どもたちには,政治や政治家に頼りきりで自分自身は行動しないこれまでの大人とは違って,自ら考えて行動する大人
になってもらわなければなりません。民主主義を誰かに任せるのでなく,自分の権利としてきちんと使いこなすことは何よ
りも大事です。日本国憲法の下では,子どもたちを主権者たる国民として育てるのが最優先でしょう。