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寺脇先生の教育論≪寺脇研先生の教育論≫【第35回】変わる若者たち、変わらない大人たち

  若者たちが、どんどん変わってきている、と感じます。

  それは、オジサンたちの世間話でいわれるような「学力低下」「規範意識不足」「我慢や辛抱が足りない」、だからいまの若い者は……的変化でもなければ、メディアをにぎわす「ゆとり世代」の若者はバカになった、という論でもありません。

 わたし自身も、そうした若者たちに応えなければならぬと思い、「カタリバ大学」という「私塾」を開き、今年で6年目を迎えました。2015年9月までに70数回開催されています。きっかけになったのは、2009年2月に若者たちと行ったイベント「大人のカタリバSpecial」。そのとき集まった若者たちを中心に、月に2回ほどのペースで連続講座を開く話が進んだ結果の産物です。高校生、大学生、若い社会人、誰でも参加できます。

 

 「2050年をデザインする」というのが、カタリバ大学のコンセプトです。このまま放置すれば環境の悪化によって地球環境が破壊する恐れのある2050年。それ以外にも食糧問題、エネルギー問題、さらに新型インフルエンザ騒動で現実味を帯びてきたパンデミック(感染爆発)の発生も考えられます。それらを乗り越え、明るい未来を築いていくために「今と未来の教育!労働!地域!政治!」を考えていこうというものです。

 若者に対して批判をするのはいいでしょう。ただただ学力低下とか何とかあげつらうなら、それを解消するために若者と一緒に活動すればいいではありませんか。学力低下論をうそぶく輩の中に、若者のために活動する人間は、まずいないでしょう。したり顔で説教するだけです。わたしは、若者の「学ぶ力」を信じる立場であるからこそ、若者たちと活動しています。行動もせずに若者をただ貶めているような連中と付き合っている暇はないのです。

 

 このカタリバ大学は関西でも要望があり、「関西カタリバ大学」も誕生しました。当初は母体となるNPOカタリバ事務局の20代後半の若者たちが運営に当たってくれていましたが、いまでは大学生たちが中心になっています。彼らの中の何人かは、高校時代からカタリバ大学に来てくれていました。そしてまた、昔の彼らと同じように大勢の高校生が集まってきています。

 こうした大学生、高校生の姿を見ていると、「ゆとり世代」という決めつけが、いかに偏見に満ちたものであるかを感じています。