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「小中一貫教育」…実態調査結果が公表されました

義務教育9年間を見通した計画的・継続的な学力・学習意欲の向上や、いわゆる「中1ギャップ」*1への対応といった観点から、地域の実情に応じた小中一貫教育の取組が全国的に進められています。
5月8日、文部科学省より、今後の小中一貫教育の制度化及びその推進方策を検討するため実施した、実態調査の結果が公表されました。

(1)都道府県を対象とした、小中一貫教育の推進状況や取組内容の調査について、以下のような傾向がありました。

①小中一貫教育の推進状況
「国の検討やほかの都道府県の取り組みを注視」が最も多く70%、「積極的に推進」・「積極的な推進を検討」を合わせても14.8%と、都道府県レベルでは大半が様子見の状態のようです。

②小中一貫教育を推進するための人事上の工夫
「市区町村教委からの要望に応じて積極的に兼務発令」48.9%が最も多く、次いで「小・中の教職員の交流促進を定期人事異動の方針に記載」が17%でした。

③小学校教員に占める中学校免許併有教員の割合
全国平均は59.9%で、併有している教員の割合が最も多いのは、岐阜県の93.5%、次いで福井県が92.1%。80%以上併有は6県で、他に長野県、茨城県、群馬県、富山県でした。また併有教員数が50%以下は10府県でした。
④中学校教員に占める小学校免許併有教員の割合
全国平均は30.4%で、併有している教員の割合が最も多いのは福井県の90.3%、次いで群馬県が85.1%、
70%以上併有は4県で、他に岐阜県、茨城県でした。併有教員数の割合が最も低いのは福岡県で8.3%、次いで高知県が9.6%、20%未満が14都府県でした。

3月17日に閣議決定された学校教育法改正案によると、小中一貫教育を行う「義務教育学校」について教員は小中両方の免許の併有が原則となります。当面の間は例外措置があるとはいえ、小学校における理科や社会等の教科の指導を期待されている中学校教員の免許併有が約3割となると、すぐに取り組みを進めるというのは難しいかもしれません。また地域によって、免許の併有教員の割合に偏りがあるため、地域のニーズと配置の調整も課題となりそうです。


(2)また、全市区町村(1743の自治体)のうち、小中一貫教育を実施している市区町村は211の自治体と全体の12%でした。小中連携教育のみ実施が66%、実施なしは22%だそうです。

①小中一貫教育推進の主なねらい
 ・中1ギャップの緩和など生徒指導上の成果を上げる(96%)
 ・学習指導上の成果を上げる(95%)
 ・9年間を通して児童生徒を育てるという教職員の意識改革(94%)

②小中一貫教育の成果(大きな成果が認められる・成果が認められると回答)
 ・小・中学校共通で実践する取り組みが増えた(93%…うち40%は大きな成果が認められると回答)
 ・いわゆる「中1ギャップ」が緩和された(93%…うち45%は大きな成果が認められると回答)
 ・異校種、異学年、隣接校間の児童生徒の交流が深まった(87%…うち34%は大きな成果が認められると回答)

③小中一貫教育の課題
 ・小中の教職員間での打合せ時間の確保(77%…うち20%は大きな課題があると回答)
 ・教職員の負担感・多忙感の解消(77%…うち18%は大きな課題があると回答)
 ・9年間の系統性に配慮した指導計画の作成。教材の開発(63%…うち5%は大きな課題があると回答)

小中一貫校推進の主なねらいとして挙げられた項目のうち、「中1ギャップ」の緩和と教職員の意識改革については、順調に成果が出ているようです。また学習指導上の成果についても、約6割~7割の自治体が各学力調査の結果の向上について成果があったと回答しています。
課題については、打合せ時間や研修時間・移動時間など時間の確保を課題と挙げている自治体が多かったです。


*1 中1ギャップ…児童が、小学校から中学校への進学において、新しい環境での学習や生活へうまく適応できず、不登校等の問題行動につながっていく事態等のこと。
 出典:「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」(中央教育審議会)

文部科学省)小中一貫教育等についての実態調査の結果(PDFへのリンク)
文部科学省)義務教育学校制度(仮称)について(PDFへのリンク)