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寺脇先生の教育論≪寺脇研先生の教育論≫【第19回】「21世紀を生きる力」とは(続)

「生きる力」というのは,人から生かしてもらう訳ではなく,「自分が生きる力」ですから,常に自分が主体的にものを考えていかなければなりません。これが「自ら学び,自ら考える力」と表されているのです。生涯にわたって意欲をもって学ぶ生涯学習という考え方にもつながります。

学びの場は学校だけとは限りません。子どもは24時間学校だけで過ごしているわけではありません。ですから,家庭や地域の教育力を上げていくことが大切です。完全学校5日制が2002年から,正確には1992年から段階的に実施されてきました。それは学校の先生を休ませるためでも,子どもを遊ばせるためでもなく,家庭や地域の教育力を強化することを目指してのことです。

土曜日に学校の授業をなくし,家庭や地域で過ごす時間をつくることで,家庭や地域に責任感を持たせる一方で,図書館や児童館といった,学校以外の学ぶ場所のインフラ整備も進められました。例えば2015年4月には文京区に「b-lab」という施設ができました(http://b-lab.tokyo/)。b-labとは「Bunkyo laboratory=文京区の実験室」という意味から名付けられた,「文京区青少年プラザ」の愛称です。

青少年プラザは中高生が社会性を養い,自立した大人への成長を応援することを目的とした,文京区内初の中高生向け施設で,文京区教育センターと文京区福祉センター療育部門からなる複合施設の一つです。区の中高校生が放課後あるいは休みの日にそこで学ぶことができる場所です。

学校だけが必要なら土曜日も日曜日も学校をやれば良いわけですが,学校だけで人が育つわけではありません。学校というのはどうしても受け身になる可能性が高くなります。しかし学校以外の場では能動的に学ぶしかありえません。だからわざわざ文京区のようにお金を掛けてでも,中高生が斜めの関係の大学生たちと交流する場所や,地域の大人と交流する場所を作るということになるのです。

完全学校5日制によって土曜日に学校の授業をなくすことで,学校では得られないものを家庭や地域から学んでもらいたいという思いがありました。ところがスタートしてみると,学校が全てを賄ってくれるという従来型の考え方からの脱却がなされませんでした。或いはそれによって「ゆとり教育」批判,「学力低下」という根拠のない話まで生まれたわけです。

今,次の学習指導要領の作成にあたりアクティブラーニングが注目されています。21世紀を生きる上で,主体的に生きる力,まさに自ら学び,自ら考える力をつけることが求められているからです。世の中では「脱ゆとり」と勘違いされている2011年の学習指導要領の改訂ですが,学ぶ内容を減らしすぎたのではないかと心配している人たちがいたので,少し増やしたというだけの話です。

文部科学省は2002年の学習指導要領以来,「子どもを教育する」のではなく,「学習者を大切にする」という考え方に切り替わっています。それは自ら学び考え,生涯学び続ける学習意欲を育む教育こそ「21世紀を生きる力」であるという考えが根本にあるからに他なりません。