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寺脇先生の教育論≪寺脇研先生の教育論≫【第10回】「学校選択制」は地域社会を脅かす

教育に市場原理的競争はなじみにくいが、ある種の競争は必要だと思います。ただし、競争原理を重視するあまり、市場原理の考え方が教育の土台に入り込んでくるのはいかがなものでしょうか。

競争原理の典型である「学校選択制」は、地域コミュニティが緩んでしまう原因になる、と私は考えています。『人気のない地域の学校に子どもが行かずに、よその学校に行く。それは生徒から選ばれない学校が悪いのだからしかたがない』。「学校選択制」はそういう制度だと簡単にかたづけてしまっていいのでしょうか。

選ぶ子どもが減ってくれば、学級の数が減ります。もっとひどい場合は学校そのものがなくなり、近くの学校に統合されます。どちらの場合も、そこで先生方の職場は一旦はなくなりますが、極端にいえば先生方は痛くもかゆくもありません。クビになるというのなら必死になって学校の質を上げようと努力するでしょうが、他の学校に異動するだけだから平気といえば平気でしょう。一番困るのは、その学校に残された子どもと親たちです。

 

自分の学区域の学校にいろいろ問題があってうまくいかないのなら、むしろ親たちが学校に入って先生と一緒になって問題を解決するというような態勢がとれないものでしょうか。自分たちが生まれ育った地域の学校を、先生や保護者たちが地域ぐるみで一緒になって良くしていこうという姿勢が主流になるべきだ、と私は思います。

なれあいやもたれ合いではない、教師の専門性と地域の皆さんの良識を一つにして学校を運営し、子どもの育成に参画していくような気風ができれば、本物の地域社会が育っていくはずなのです。