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寺脇先生の教育論≪寺脇研先生の教育論≫【第6回】家庭の教育力②

明治の初めに今の学校制度が導入される以前、子どもは主に家庭と地域で育てられていました。

子どもたちが学校に行くのが当たり前になってくると、最初は家庭と地域にできないことを学校が受け持つという考え方だったのが、だんだん安易に何でも学校に任せてしまう風潮になっていったのです。「子どものことはすべて学校がやってくれる」という考え方です。

その背景には日本の高度成長があり、経済至上主義が人々の価値観を変え、さらに核家族化も進行しました。その頃から家庭の教育力が衰退し始めたといわれています。

 

私は、親たちに、日本の教育の仕組みがどうなっているのか、学校で何を教えているかを知ってもらうことに、解決の糸口があると思っています。

学校で何をやっているかが分かれば、それ以外のところは家庭と地域が受け持つことができます。そうやってひとりの子どもを多面的に育てていくことができるのです。

 

まずは教師のほうから、自分たちの考え方と、「できること」と「できないこと」をいうべきではないでしょうか。

「こういうことは学校でできるが、こういうことは学校ではできない」とはっきりいった方がいいでしょう。「教師はオールマイティ」というふうに振る舞うと、かえって信頼を損ねてしまいます。たとえば、「私は家庭のしつけのようなことはできませんが、『九九』はちゃんとできるようにします」といってそのとおりに実行すれば、だんだんと信頼を築くことができます。

情報を隠さず公開するのは、確かに勇気の要ることです。しかし、ひとたび公開してしまえば何と楽なことなのです。私が以前在職していた役所(文部科学省)の世界は、情報公開が学校よりもはるかに進んでいますが、あるがままにオープンにすることは、精神的にも物理的にもむしろ楽でした。

 

学校と家庭の信頼関係を築くことができれば、親が子どもを前にして信頼を失うことも減っていくのではないでしょうか。