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≪寺脇研先生の教育論≫【第5回】家庭の教育力①

昨今、家庭の教育力が低下しているといわれていますが、私はそう思いません。
むしろ向上していると思っています。
ただ問題は、親が自分の教育方針に自信がなく、子どもにきちんとモノが言えないことです。親が子どもを恐れすぎているのではないでしょうか。
子どもが間違ったことをしたとき、毅然とした態度で叱れません。
体罰の問題も、本当に子どものことを思うなら時に叩くことがあってもいいと思いますが、そんなことをしたら子どもがグレてしまうのではないかと怯えています。
冷静に考えれば、親子がその程度のことで崩れてしまうような人間関係であるはずがないのです。
親たちは子育て以前に、実は自分に自信がないのではないでしょうか。
昔の親は小学校しか出ていなくても、確固とした自信をもっていました。農家なら自分が作った米や野菜、漁師なら釣り上げた魚というふうに、実際に子どもに見せて誇れるものがあったからです。
サラリーマンの仕事の内容は子どもにとっては分かりづらいでしょう。自分の仕事に誇りの持てないお父さんも少なくないから、子どもにストレートに説明できないのではないでしょうか。
いくら学歴が高くても本人の自信につながらないのです。私はそこにも学歴社会の弊害を感じます。
親が自分自身に自信がないのだから、子どもに正面から向き合えるはずがありません。そうなると子どもも親を誇りに思えないのではないでしょうか。
自分に自信を持っている姿は、それだけで子どもに何かを感じさせるのです。