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信じる。見守る。教えない授業。②

O先生が家庭教師としてやってきました。

座卓を挟んで、いよいよ1対1の個別授業が始まりました。

「孝輔君、英語が苦手なんだって?いつごろから分からなくなったのかな?」

「中1の夏ごろからです。」

「そうしたら、中1の教科書から一緒に見直してみようか?」

「はい。」

「夏休みの前までに、中2内容まで復習できればだいぶ自信がつくと思うんだ。英語で見通しがついてきたら、数学も同じように復習していこう!」

「はい!」

家庭教師というとなんだか怖いイメージがありましたが、O先生はニコニコしながら問いかけてくださったので安心して授業に臨むことができました。

初回授業は、中1教科書を1ページずつ、「英語を音読する→分からない単語が出てきたら英和辞典で調べる→日本語にする」という形でレッスン2つ分ほど進んだところで終わりました。

「今日一緒に勉強したことを、今度は一人でやってごらん。宿題は続きのレッスンを2つ分。がんばってね!」

「はい!」

それから1週間後。

「孝輔、宿題はちゃんとやったの?」

学校から帰り、母にそう問いかけられたときに、この1週間何もしていないことに気づき、ようやく中1の英語の教科書を開いたのでした。

家庭教師のO先生が来るまでの時間で3ページしか進められませんでした。

「孝輔君こんばんは。では、はじめましょうか。この前の続きから。」

直前に復習した3ページはつっかえることなく進められましたが、復習していないところでは分からない単語が出るたびに立ち止まることになりました。

「先生すみません。宿題やっていませんでした。」

「謝ることはないよ。部活で忙しかったんだろう。続けよう。あわてなくても大丈夫。待っているから辞書で分からない単語を調べなさい。意味が分かったら日本語にしてみよう。」

O先生は初めて会ったときと同じ笑顔で、私が辞書を引くのを見守り、たどたどしく訳した日本語に耳を傾けながら、大きく頷き「いいね!」「その通り!」と褒めたり、「あわてないで!」「自信を持って!」と励ましたりしながら、上手にリードしてくださるのでした。

1時間経つと「はい、今日はここまで!」と授業を締めくくりました。

もっと先生と勉強したい……。もう少し教えてもらいたい……。心からそう思いました。

「今日はレッスン3つ分進んだね。来週までに続きのレッスン3つ分頑張れるかな?」

「はい、絶対に頑張ります!」

(つづく)