教育関連記事
授業を観る③

今回は授業技術向上につながる『授業見学の視点』をご紹介します。

 
前回、授業見学のポイントは「先生が取った行動に対して生徒がどのような反応をしているか」であると書きました。私もそうでしたが授業見学というと、「どんな説明の仕方をしているか」「どんな図や資料を使っているか」「どんな板書を書いているか」といった授業内容に目も意識も向いてしまうと思います。

 
もちろん、「先輩や同僚の先生方がどんな教え方をしているのか」ということは教科が同じかどうかに関わらず、大変に参考になると思います。でも、少し経験のある方だと共感して頂けるのではないかと思うのですが、ある先輩の授業を見学し、教え方に感銘を受けるわけです。そして、早速実践してみるのですが、「先輩と同じようにやっているはず」なのに「同じようにはならない」んですよね。

 
それは何故かというと、授業が上手い先生は、説明や図といった教え方が上手いということもあるのですが、授業中の生徒との反応の引き出し方や間の取り方が上手いんですよね。要は、自身の立ち居振る舞いを工夫することで、生徒達が能動的に授業に参加するように仕掛けているのです。だから説明がスムーズに進むし、テンポも良くなり、生徒の反応も良くなり、自然と活気が出るんですね。

 
要は、「先生の行動」によって「生徒の反応(=行動)」を引き出すことができる、導くことができるということです。今回紹介する『授業見学の視点』とは、「授業中に先生がどのように行動したら、生徒がどのように反応したか」ということに注目するということです。


 
こんなエピソードも聞いたことがあります。
 
あるお笑い芸人は若い頃、先輩芸人、特に売れている漫才師のトークをテープに録音し、文字に起こして研究していたそうです。話の組み立てや言い回しはもちろん、会場に笑いが起こるタイミングや間(ま)の回数に至るまで、全てをチェックしていたといいます。

 
また、先輩芸人から学んだ技術を、自分のネタの中に取り入れ、自分の技術のようにみせることができるようになるまで、ひたすら練習をしたそうです。さらに練習の成果を舞台で披露し、客席の反応を確かめ、イマイチだったらアレンジしてまた舞台で検証する、ということを繰り返したそうです。

 
その話を聞く前からそのお笑い芸人のことは知っていましたが、どちらかというと「笑いのセンスに恵まれた人」、というイメージを持っていました。でも、トークやボケ、ツッコミなどが面白く見えるのは、やはり研究や工夫を徹底し、努力に努力を重ねているからなのですね。

 
徹底的に真似して人の技術を自分のものにしただけでもすごいのですが、自分のネタ(行動)に対して客席がどう反応するかを徹底して研究・検証した賜物であるということを知って感動を覚えたことがあります。

 


 
今度授業見学をする機会がありましたら、次のことを実践してみて下さい。

①先生が取った行動に対して生徒がどのような反応をしているかを観察する。
②そこでの気づきを書き出してみる。
③その時によいと思われることについて考えてみる。

きっと「こうした方が良い」という意見や感想を持つことがあるはずです。自分に落とし込んで振り返ってみて下さい。実践できているかどうか、思い出してみて下さい。きっと「まだまだ」と思うところもあるはずです。


 
そうやって気づいたことを、辛抱強く授業で実践してみてください。
その繰り返しで、自分の姿を客観視して生徒からどのように見えるかという視点が鍛えられます。
その積み重ねが授業力向上へとつながっていくのだと思います。