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「学習する空間づくり」②

I先生の授業見学でショックを受けた私は、
「どうしてI先生の授業は盛り上げようとしているわけでもないのに、あんなに生徒が集中しているのでしょうか」
と問いかけたのでした。

その時I先生が私に下さったのは、
「牛嶋君、自分の授業をビデオに撮って見てみるとよいよ」
というアドバイスでした。

「なんだそんなことか」と校舎のカメラをお借りして早速実践。
次の授業で教室後方に三脚を立てて、授業を撮影したのでした。

少しカメラを意識して少々浮き足立ってしまったかな、くらいの気持ちで授業を終え、
その夜、校舎のテレビを借りてひとり映像を見たのでした。


決定的でした・・・。

声は大きいけれども一本調子 …聞いていて疲れてきました。
投げかける発問も一問一答ばかり …考えさせる発問ではありませんでした。
指名するのも反応の良い生徒ばかり …何度か手を挙げているのに一度も当てていない生徒がいました。

俯いている生徒、退屈そうにしている生徒、自分の目の前で起きていたこととは思えませんでした。「自分は元気に授業を進めている!」「生徒も楽しんでいる」と思っていただけにショックで言葉を失いました。

こうして私は本当の意味で「一見楽しそうだけれども、生徒が集中していない授業」と校長に評価された理由を思い知らされたのでした。

一方で、「授業は試合だと思いなさい。真剣勝負。間合いが大切なんです。だから一つひとつの行動を見届けること、見守ることがとても重要だよ。そのことが次の行動に活きてくるんだ。号令や発問の時に一呼吸置いて、生徒一人ひとりの顔を見なさい。そうすればよい授業ができるようになる。それだけのことなんですよ。」
今度は校長の言葉がよく理解できました。


「牛嶋先生どうでしたか?」

自分の授業の様子を初めて見て落ち込んでいる私を見てI先生が声をかけてくれました。

「牛嶋先生は元気があって声も大きい。そのことをもっと活かしたらいいんですよ。出社時や自転車整理の時の挨拶には私も含めて校舎の皆はとてもびっくりしているんです。入室の挨拶は満点だけれども、号令のかけ方や出欠確認の仕方は50点。発問とその受け答えは30点かな。意味が分かりますか?」

合点がいかなかった私はもう一度ビデオを見直しました。

号令が揃っていない。出欠確認も生徒の顔を見ていない。
発問と生徒の発表も噛み合っていませんでした。

 

「挨拶と号令、出欠確認で授業が変わるんだよ。どうせやるならば思い切り変えてみて。生徒のリアクションに惑わされずに辛抱強く実践してみて。」

I先生のアドバイスを踏まえて、私は次の授業に臨んだのでした。
教室のドアの前に来ると、突然ビデオの中の一方通行授業をする自分が浮かびました。

不安をかき消すために、
「こんにちは!!!」と
とにかく笑顔で、大きい声を出したことは今でも覚えています。

(つづく)